電線管のサイズを検討するときは、収容する電線が管内でどの程度の断面積を占めるかを確認することが重要です。ただし、導体サイズや電線管の呼び径だけで計算すると、実際の占有率とずれる可能性があります。

また、資料で見かける32%・48%は、すべての電線やケーブルに共通して適用できる数値ではありません。電線の種類や太さ、管種、施工条件、適用する規程などを確認したうえで判断する必要があります。本記事では、電線管占有率の基本的な計算方法から、具体例、管サイズの選び方、計算時の注意点までわかりやすく解説します。

電線管占有率の計算方法

電線管占有率は、電線管の内断面積に対して、収容する電線がどの程度の断面積を占めるかを百分率で表したものです。基本的には、電線の外形から求めた断面積の合計を、電線管の内断面積で割って求めます。

ただし、計算結果は管サイズを検討するための確認材料の一つです。適用する規程や設計図書、使用する製品の仕様、通線条件などを確認し、占有率だけで施工可否を決めないことが大切です。

電線管占有率の基本的な計算式

電線管占有率は、次の式で求めます。

占有率(%)=電線の総断面積÷電線管の内断面積×100

ここでいう電線の断面積は、導体だけの公称断面積ではなく、絶縁被覆などを含む外形を基に確認します。また、電線管側は呼び径ではなく、実際の内径または資料に示された内断面積を使用します。

使用する寸法が違えば計算結果も変わるため、電線と電線管の種類を特定したうえで、規格資料やメーカー資料の値を確認してから計算しましょう。

電線・ケーブルの断面積を仕上外径から求める

円形として扱える電線やケーブルで、仕上外径がわかっている場合は、円の面積の式を使って1本あたりの断面積を求めます。

1本あたりの断面積=仕上外径×仕上外径×π÷4

たとえば仕上外径が6.0mmであれば、「6.0×6.0×π÷4」となり、断面積は約28.3mm²です。同じ導体サイズでも電線やケーブルの種類、メーカー、製品仕様によって仕上外径が異なる場合があるため、採用する製品の資料で確認してください。

なお、平形ケーブルなど単純な円として扱いにくい形状では、外径から独自に近似するのではなく、適用する規程やメーカー資料に示された計算条件を優先します。

電線管の内断面積を内径から求める

電線管が円形で内径がわかっている場合は、次の式で内断面積を求めます。

電線管の内断面積=内径×内径×π÷4

たとえば内径20.0mmの管であれば、「20.0×20.0×π÷4」となり、内断面積は約314.2mm²です。

ここで注意したいのが、電線管の呼び径と実際の内径は必ずしも同じではない点です。管種によって寸法体系が異なるため、G管、C管、E管、PF管、CD管、VE管など、使用する電線管に対応した内径を確認して計算します。

複数本を収容するときは断面積を合計する

同じ仕上外径の電線を複数本収容する場合は、1本あたりの断面積に本数を掛けて総断面積を求めます。

たとえば1本あたりの断面積が約28.3mm²の電線を3本収容する場合は、「28.3×3」で約84.9mm²です。計算途中の丸め方によってわずかな差が出るため、実務では途中値を十分な桁数で保持し、最後に所定の方法で端数処理すると確認しやすくなります。

異なる種類や太さの電線を同じ管に収容する場合は、それぞれの断面積を個別に求めてから合計します。接地線など、同じ管内に収容する線を数え漏らさないようにしましょう。

具体例|仕上外径6.0mmの電線3本を内径20.0mmの管に入れる場合

仕上外径6.0mmの円形電線を3本、内径20.0mmの電線管に収容すると仮定して計算します。計算の流れを整理すると、以下のとおりです。

計算項目・計算式・計算結果の表
計算項目計算式計算結果
電線1本あたりの断面積6.0×6.0×π÷4約28.3mm²
電線3本分の総断面積約28.3×3約84.8mm²
電線管の内断面積20.0×20.0×π÷4約314.2mm²
占有率84.8÷314.2×100約27.0%

この例は計算方法を理解するための仮定です。実際の管サイズを選ぶ際は、使用する電線や管の正式な寸法と、適用する規程・仕様を確認してください。

電線の種類や本数、仕上外径、候補となる電線管をまとめて比較したい場合は、ラクワークの「電線管サイズ・占有率計算ツール」を利用できます。候補ごとの占有率を整理しやすくなりますが、計算結果だけで規程への適合や施工可否が確定するものではありません。

電線管占有率の32%・48%はどう考える?

電線管のサイズを調べると、32%や48%という数値を目にすることがあります。内線規程では、絶縁電線を管内に収める場合について、電線や施工条件に応じた選定方法が示されています。

確認するポイント・考え方の表
確認するポイント考え方
電線の太さ・本数使用する電線の条件に応じて適用する基準を確認する
電線管の種類金属管や合成樹脂管など、対象となる工事方法を確認する
管の屈曲曲がりが多い場合は、通線や引替えのしやすさも考慮する
32%・48%の扱い数値だけで判断せず、該当する条項・表・注記を確認する

そのため、「電線管は必ず32%以下」「3本以下なら48%」のように本数だけで単純化するのは適切ではありません。対象となる電線・管の種類と施工条件を整理し、参照する基準に沿って判断することが重要です。

32%を基本の確認値として扱う場合

異なる太さの絶縁電線を同じ金属管や合成樹脂管へ収める場合には、内線規程で、被覆絶縁物を含む断面積の総和が管の内断面積の32%以下となるよう選定する考え方が示されています。

一方、同一太さの絶縁電線を収める場合は、単純に32%だけで判定するのではなく、管種や電線の太さ、本数に応じた選定表を使う条件があります。したがって、32%をすべてのケースに共通する一律の上限として扱うのではなく、自分の施工条件に対応する規程を確認してください。

また、ケーブルを保護管へ収容する場合などは、絶縁電線の金属管工事・合成樹脂管工事と同じ条件で扱えない場合があります。ケーブルの種類や管路材に応じた規格・施工資料を確認することが大切です。

48%を確認できる場合でも適用条件を確認する

内線規程では、管の屈曲が少なく、電線を容易に引き入れたり引き替えたりできる場合について、条件に応じて管の内断面積の48%以下とすることができる考え方が示されています。

つまり、48%は数値だけを取り出して常に使えるものではありません。曲がりの状態や管路の条件に加え、電線の太さ・種類、適用する表などを確認する必要があります。

「占有率が48%未満だから問題ない」と先に結論を出すのではなく、まず48%を適用できる条件に該当するかを確認し、そのうえで管サイズを検討しましょう。

内線規程・設計図書・発注者仕様・メーカー資料を優先する

実際の工事では、内線規程だけでなく、設計図書や特記仕様、発注者独自の基準、使用製品の施工資料などが条件として指定されることがあります。

公共建築工事の標準仕様書でも、質問回答書、現場説明書、特記仕様、図面、標準仕様書といった設計図書の優先順位が定められています。案件ごとに適用される資料を確認し、複数の資料で条件が異なる場合は、都合のよい数値だけを選ばないことが重要です。

また、規程やメーカー資料は改訂されることがあります。以前使った早見表をそのまま流用せず、現在採用する版や製品の最新資料を確認してください。

電線管占有率の計算前に確認する情報

占有率を正しく計算するには、数式へ数字を入れる前に、電線と電線管の条件をそろえておく必要があります。とくに、導体サイズと仕上外径、呼び径と内径を取り違えると、計算結果が大きく変わる可能性があります。

ここでは、計算前に確認したい情報を整理します。

電線・ケーブルの種類と本数

まず、同じ電線管へ収容する電線やケーブルを、種類・サイズ・本数ごとに整理します。IV、EM-IE、CV、CVTなどは構造が異なるため、名称だけで同じ外径や計算条件を使うことはできません。

回路図や配線図と照らし合わせ、接地線や制御線などを含めて、実際に管内へ収容する線を洗い出します。設計変更で本数が増減した場合は、以前の計算結果をそのまま使用せず、最新条件で再計算してください。

また、絶縁電線とケーブルでは適用する工事方法や規程の考え方が異なる場合があります。32%・48%を確認するときは、まず対象がどの種類に該当するかを明確にすることが重要です。

電線・ケーブルの仕上外径

導体サイズと、絶縁被覆を含む仕上外径が別の値であることを示す図

占有面積を計算するときは、「2mm」「5.5mm²」などの導体サイズではなく、絶縁被覆やシースを含む外形寸法を確認します。

たとえば5.5mm²という表示は導体の公称断面積を示すもので、管内で実際に占める面積ではありません。同じ公称断面積でも、電線の種類や構造によって外径が異なることがあります。

メーカー資料に仕上外径や概算外径が掲載されている場合は、採用する製品に対応する値を使用します。外径ではなく断面積が資料に直接示されている場合は、その値の前提条件を確認したうえで利用しましょう。

電線管の種類と内径

電線管の呼び径と、電線を収容できる実際の内径が異なる場合があることを示す図

次に、候補となる電線管の種類と内径を確認します。鋼製電線管、合成樹脂製可とう管、硬質ビニル電線管などでは、呼び方や寸法が異なります。

たとえばPF管では、呼び14に対して内径14mm、呼び16に対して内径16mmと示される規格例がありますが、すべての管種で呼び径と内径が一致するわけではありません。鋼製電線管では、呼び径と実際の内径が異なるものがあります。

そのため、別の管種の早見表から数値を流用せず、採用する管の規格値またはメーカー資料で内径・内断面積を確認してください。

適用する規程・設計条件

占有率の計算式が同じでも、どの数値を上限や選定基準として使うかは、工事条件によって異なります。計算前に、内線規程、設計図書、特記仕様、発注者基準、メーカー施工資料など、最終判断に使用する資料を整理しておきましょう。

とくに32%・48%は、絶縁電線の管工事で示される条件を確認せず、ケーブルや別の管路材へそのまま当てはめることは避ける必要があります。

参照した資料名、版、条項や表番号、確認した寸法を記録しておけば、設計変更や施工前確認の際にも根拠を追いやすくなります。

占有率から電線管サイズを選ぶ手順

占有率を計算した後は、複数の候補管を同じ条件で比較し、適用基準と施工条件を確認しながらサイズを絞ります。単純に「計算上入る最小サイズ」を選ぶのではなく、通線や引替えのしやすさまで含めて判断することが重要です。

ここでは、電線管サイズを確認する基本的な流れを順番に解説します。

1. 収容する電線・ケーブルの総断面積を求める

最初に、同じ管へ収容する電線やケーブルの仕上外径と本数を整理し、種類ごとの断面積を計算します。同じ外径の電線は「1本あたりの断面積×本数」で求められます。

異なる太さや種類が混在する場合は、それぞれを個別に計算して合計します。平均外径を作って一括計算すると実際の総断面積とずれるため、種類ごとに分けることが大切です。

この段階で、接地線などを含めて対象本数に漏れがないかも確認しておきます。

2. 候補となる電線管の内断面積を求める

次に、候補となる電線管の内径を確認し、「内径×内径×π÷4」で内断面積を求めます。資料に内断面積が掲載されている場合は、計算条件を確認したうえでその値を利用できます。

候補を1サイズだけに絞らず、近いサイズを複数並べておくと比較しやすくなります。管サイズを一段階大きくしたときに占有率がどの程度下がるかを確認でき、施工性を考える際の判断材料になります。

3. 候補管ごとの占有率を比較する

電線側の総断面積と候補管の内断面積がそろったら、候補ごとに占有率を計算します。

同じ電線条件で比較すれば、管を大きくしたときの余裕の違いを数値で確認できます。ただし、占有率の数値だけを見て「最小の候補で十分」と判断するのは避けましょう。

適用する規程や選定表と照合し、条件を満たしているかを確認したうえで、次の施工条件も合わせて検討します。

4. 通線性や施工条件を確認して候補を絞る

占有率が同じでも、配管の曲がりや長さによって通線のしやすさは変わります。曲がりが多い、配管が長い、途中で電線を引き替えにくいといった条件では、計算上の余裕だけでは施工性を判断できません。

金属管工事では、アウトレットボックス間などの管路に直角またはそれに近い屈曲箇所を3箇所を超えて設けない考え方が示されており、屈曲が多い場合や管路が長い場合にはプルボックスの設置を検討する考え方もあります。

実際の経路、作業スペース、通線方法、将来の引替えなどを確認し、必要に応じて余裕のある管サイズへ変更します。

5. 規程・設計図書に照らして最終確認する

最後に、選んだ候補を適用する規程や設計図書、メーカー資料と照合します。占有率は重要な確認項目ですが、それだけで最終的な施工可否は決まりません。

公共工事などで特記仕様や図面に管サイズが指定されている場合は、その条件を優先して確認します。製品固有の施工条件や収容条件がある場合も、メーカー資料を確認してください。

計算結果と採用根拠を一緒に記録しておくと、施工前の確認や設計変更時の再検討がしやすくなります。

異なる種類・サイズの電線を同じ管に入れる場合の計算

異なる太さの電線を同じ管に収容する場合も、基本的な占有率の式は同じです。ただし、1つの平均外径にまとめるのではなく、種類ごとに実際の断面積を計算して合計します。

また、内線規程では異なる太さの絶縁電線を同じ金属管や合成樹脂管に収める場合について32%以下となるよう選定する考え方が示されています。対象となる電線・管種・工事方法を確認したうえで適用してください。

種類ごとに「1本の断面積×本数」を計算する

たとえば、仕上外径6.0mmの電線が2本、仕上外径4.0mmの電線が2本ある場合、それぞれの断面積を別々に求めます。

仕上外径6.0mmの電線は1本あたり約28.3mm²なので、2本で約56.5mm²です。仕上外径4.0mmの電線は1本あたり約12.6mm²なので、2本で約25.1mm²となります。

このように種類ごとに計算することで、太さの違いをそのまま反映した総断面積を求められます。電線の種類が増えても考え方は同じです。

すべての断面積を合計して管内断面積で割る

電線管の占有率は、各電線の断面積を合計し、その値を電線管の内断面積で割って求めます。先ほどの例では、電線の総断面積は「約56.5+約25.1」で約81.7mm²です。

項目・数値・計算の表
項目数値・計算
電線の総断面積約56.5+約25.1=約81.7mm²
電線管の内断面積314.2mm²
占有率の計算81.7÷314.2×100
占有率約26.0%

異なる太さの絶縁電線を同じ管に収容する場合は、計算結果だけでなく、適用する規程の選定条件も合わせて確認します。計算表では「電線種類」「仕上外径」「1本あたり断面積」「本数」「小計」を分けておくと、設計変更で本数が変わった場合にも修正しやすくなります。

円形として扱いにくいケーブルは資料の計算条件を確認する

すべてのケーブルが、仕上外径を使った単純な円面積計算に適しているとは限りません。平形のものや、複数の線心をより合わせた形状などでは、資料側で別の寸法や選定方法が示されている場合があります。

また、ケーブルを地中埋設用の保護管へ収容する場合など、占有率32%・48%とは異なる管サイズ選定基準が採用されるケースもあります。たとえば製品によっては、JISに基づきケーブルの仕上外径または集合外接円径に対して一定倍率以上の内径を確保する方法が示されています。

そのため、ケーブルについては「円換算した占有率が基準内だから採用できる」と一律に判断せず、対象の工事方法と製品資料を確認してください。

電線管占有率の計算でよくある間違い

電線管占有率の式自体は複雑ではありませんが、入力する寸法や条件を取り違えると結果が大きくずれることがあります。とくに導体断面積と仕上外径、呼び径と内径の混同は起こりやすいポイントです。

ここでは、計算時によくある間違いを確認します。

導体の公称断面積を占有面積として使う

「2mm²」「5.5mm²」などの公称断面積は、導体の太さを示す値です。絶縁被覆やシースを含めた電線全体が管内で占める面積とは異なります。

公称断面積をそのまま占有面積として使うと、被覆分が反映されず、実際より小さく見積もる可能性があります。占有率を計算するときは、対象製品の仕上外径や、規程・資料で指定されている断面積を確認してください。

資料に複数の寸法が載っている場合も、項目名を確認して用途に合う値を選びます。

電線管の呼び径を内径として使う

電線管の呼び径は、製品サイズを区分するための呼称であり、必ずしも実際の内径と同じではありません。

たとえば鋼製電線管では、呼び径と外径、厚さ、内径がそれぞれ異なります。呼び径をそのまま円の直径として計算すると、内断面積が実際の値とずれる可能性があります。

計算するときは、使用する管種を特定し、規格表やメーカー資料に記載された内径または内断面積を確認しましょう。

本数や接地線などを数え漏らす

断面積の計算が正しくても、本数が間違っていれば占有率も正しくなりません。主回路の電線だけを数え、同じ管内に収容する接地線やその他の線を漏らすと、実際より低い占有率になります。

計算前に配線図や回路表と照合し、同じ管内へ入る線をすべて整理してください。設計変更後は、電線の追加・削除が計算表へ反映されているかも確認します。

計算条件に「何を何本入れるか」を残しておくと、後から見直しやすくなります。

mmとmm²を混同する

仕上外径や内径の単位はmm、断面積の単位はmm²です。外径6mmという値を、そのまま6mm²として扱うことはできません。

円形の断面積は「直径×直径×π÷4」で求めるため、長さの値を面積へ変換してから使用します。また、cmやmの値が混在している場合も単位をそろえる必要があります。

途中計算にも単位を付けておくと、入力ミスや転記ミスを見つけやすくなります。

32%・48%を条件確認なしで固定的に使う

32%・48%は、電線管占有率を調べるとよく出てくる数値ですが、すべてのケースに共通する固定値ではありません。

とくに「電線が3本以下なら48%」「ケーブルでも常に32%」のように、条件を単純化して適用すると、規程の対象範囲と異なる可能性があります。

電線の種類、太さ、本数、管種、曲がりや引替え条件を整理し、対応する規程や表を確認したうえで使用してください。

占有率が条件内でも確認したい施工上のポイント

計算した占有率が基準内に収まっていても、実際の施工が容易とは限りません。配管経路や曲がり、ケーブルの硬さ、将来の引替えなどによって、必要な余裕は変わります。

管サイズを決めるときは、計算値と現場条件を合わせて確認しましょう。

曲がりの数と曲げ半径

電線管の曲がりが少ない経路と多い経路で通線性が変わることを示す図

電線管の曲がりが増えるほど、通線時の抵抗も大きくなります。占有率に余裕があっても、急な曲がりや小さい曲げ半径が続けば、電線を通しにくくなる可能性があります。

金属管工事では、アウトレットボックス間などに3箇所を超える直角またはそれに近い屈曲箇所を設けない考え方が示されています。施工する管種ごとの曲げ条件も確認し、無理な経路になっていないかを確認してください。

曲がりの位置や角度を施工図で確認し、必要に応じてボックスの追加や経路変更も検討します。

配管長と通線・引替えのしやすさ

同じ曲がり数でも、配管区間が長くなるほど通線作業の負担は増えやすくなります。将来の改修で電線を引き替える可能性がある場合は、施工時だけでなく保守時の作業性も考えることが大切です。

金属管工事では、屈曲箇所が多い場合や管のこう長が30mを超える場合に、プルボックスを設置するのがよいとされる考え方があります。

ただし、実際に必要となる施工方法は現場条件や適用仕様によって異なります。管路全体を確認し、通線・引替えができる経路になっているかを検討してください。

メーカーの収容本数表や施工資料

メーカーが電線管や管路材について収容本数表、寸法表、施工上の注意事項を公開している場合は、一般的な計算式と合わせて確認します。

製品によって内径や曲げ条件、接続方法などが異なるため、別製品の数値をそのまま流用するのは避けましょう。また、メーカー資料に独自の選定方法や対応規格が示されている場合は、その前提条件を確認します。

計算結果とメーカー資料に差がある場合は、どちらかを都合よく選ぶのではなく、計算条件や対象規格の違いを確認してください。

将来の増設を見込むか

現在の電線だけを基準に最小サイズの管を選ぶと、将来回路を増設するときに余裕がなくなる可能性があります。

増設予定が明確な場合は、その回路を含めて計算するか、予備管を設けるなど、設計方針に沿って対応します。予定が未確定の場合でも、設備の用途や更新計画から将来変更の可能性を確認しておくと判断しやすくなります。

ただし、必要以上に大きな管を選ぶと、材料費や施工スペースにも影響します。現在の条件と将来計画の両方を見ながら検討しましょう。

電線管サイズ・占有率計算ツールで候補管を比較する

電線やケーブルが複数ある場合、1本ごとの断面積計算や候補管ごとの比較を手作業で繰り返すと、計算や転記に手間がかかります。

ラクワークの「電線管サイズ・占有率計算ツール」では、入力した条件から候補管ごとの占有率を整理できます。手計算の確認や複数候補の比較に活用できます。

電線条件と候補管をまとめて入力できる

ツールでは、電線・ケーブルの種類や本数、仕上外径などの条件と、比較したい電線管の情報をまとめて整理できます。

同じ計算条件を使って候補管を比較できるため、サイズごとに計算式を作り直す手間を減らせます。入力するときは、メーカー資料や規格資料で確認した仕上外径・内径など、根拠のある値を使用してください。

計算条件をそろえておくことで、設計変更時にもどの値を見直せばよいか確認しやすくなります。

候補管ごとの占有率を同じ条件で比較できる

複数の電線管サイズを候補として登録すると、同じ電線条件に対して占有率がどの程度変わるかを比較できます。

たとえば最小候補では占有率が高く、一段階大きな管では余裕が増えるといった違いを整理しやすくなります。手計算結果の確認にも利用できます。

候補を比較するときは、占有率だけでなく、管種、内径、施工スペース、曲がりや配管長なども合わせて確認してください。

計算結果は最終的な施工可否を確定するものではない

ツールで表示される占有率は、入力した寸法と本数を基にした計算結果です。32%・48%の適用可否や、個別工事で採用すべき正式な管サイズを自動で確定するものではありません。

実際の設計・施工では、対象となる電線と管の種類、適用する規程、設計図書、メーカー資料、施工条件を確認して最終判断します。

ツールは候補を整理するための補助として使い、採用根拠となる資料と計算条件を合わせて残しておきましょう。

電線管占有率の計算に関するよくある質問

電線管占有率を計算するときは、用語の違いや32%・48%の使い分け、呼び径の扱いなどで迷うことがあります。

ここでは、電線管占有率の計算に関するよくある疑問を整理します。

電線管の占有率と占積率に違いはある?

電線管内で電線が占める断面積の割合について、資料やWebサイトでは「占有率」「占積率」など複数の表現が使われることがあります。

重要なのは名称だけで判断せず、「何の断面積を何で割っているか」と「どの規程・条件を対象としているか」を確認することです。本記事では、電線管の内断面積に対して電線の断面積が占める割合を「占有率」と表記しています。

実務では、参照する規程や設計図書に使われている用語を確認し、その定義に従ってください。

32%と48%はどちらを使えばよい?

32%と48%のどちらを使うかは、本数だけでは決められません。内線規程では、金属管工事や合成樹脂管工事で絶縁電線を収める場合について、電線の太さ、本数、管の屈曲、引入れ・引替えのしやすさなどに応じた選定方法が示されています。

異なる太さの絶縁電線を同じ管に収める場合は32%以下となるよう選定する考え方があり、屈曲が少なく容易に引入れ・引替えできる場合には条件に応じて48%以下とできる考え方があります。

実際には対象となる条項や表を確認し、設計図書や発注者仕様がある場合はそれらも含めて判断してください。

電線管の呼び径だけで占有率を計算できる?

原則として、呼び径だけを実際の内径とみなして正確な占有率を計算することはできません。

呼び径と内径が一致する管種もありますが、鋼製電線管のように異なるものもあります。占有率を求めるには、候補となる電線管の内径または内断面積を確認する必要があります。

管種と製品を特定し、規格表やメーカー資料の寸法を使って計算してください。

占有率が基準以下ならその電線管を採用できる?

占有率が確認した基準以下であっても、それだけで採用できるとは限りません。

配管の曲がりや長さ、通線性、将来の引替え、設計図書の指定、メーカーの施工条件など、ほかにも確認すべき項目があります。また、32%・48%自体が対象の電線や工事方法に適用できるかも確認が必要です。

占有率は管サイズを比較するための重要な判断材料として使い、最終的には適用規程と施工条件を含めて確認しましょう。

電線管占有率は計算結果と施工条件を合わせて確認しよう

電線管占有率は、電線の総断面積を電線管の内断面積で割り、100を掛けることで求められます。正しく計算するには、導体の公称断面積ではなく被覆を含む外形を確認し、電線管も呼び径ではなく実際の内径や内断面積を使用することが重要です。

また、32%・48%は、すべての電線・ケーブルに一律で適用できる数値ではありません。絶縁電線の種類や太さ、管種、屈曲や引替え条件、適用する規程や設計図書を確認する必要があります。

手計算や電線管サイズ・占有率計算ツールを使って候補を整理したうえで、メーカー資料や現場の施工条件も照合し、安全性と施工性の両面から適切な電線管サイズを選びましょう。

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根拠・参考資料

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計算条件や解説内容の確認に使用した資料です。実際の設計・施工・安全管理・会計処理では、リンク先の最新版、個別条件、所属組織の基準も確認してください。