電線サイズを選ぶ際、「負荷電流に対して何sqを選べばよいのか」「許容電流だけ見ればよいのか」と迷うことがあります。電線サイズは単純に負荷電流だけで決めるのではなく、電線・ケーブルの種類や布設方法、周囲温度、配線長による電圧降下、保護装置との整合など複数の条件を確認して選定する必要があります。
条件を十分に確認せず早見表や過去案件の数値だけで決めると、実際の施工条件に適さないサイズを選ぶおそれがあります。本記事では、電線サイズを選定するときの基本的な考え方から具体的な手順、確認時の注意点まで順番に解説します。複数の候補を比較したい場合に使える「電線サイズ選定支援ツール」も紹介するため、実務での確認作業に役立ててください。
電線サイズは許容電流と電圧降下を中心に選定する
電線サイズを選定するときは、まず負荷電流に対して必要な許容電流を確保できるかを確認し、そのうえで配線長などを踏まえて電圧降下を確認します。ただし、許容電流や電圧降下だけで選定が完了するわけではありません。
同じサイズの電線でも、電線・ケーブルの種類や布設方法、周囲温度、複数条をまとめて布設するかどうかなどによって使用条件は変わります。また、ブレーカーなどの保護装置や接続する機器の端子仕様との整合も必要です。電線サイズは一つの数値だけで判断せず、複数の条件を順番に照合して候補を絞ることが重要です。
負荷電流に対して十分な許容電流を確保する
電線サイズを選ぶ際の基本となるのが許容電流です。許容電流とは、一定の条件下で電線やケーブルに連続して流すことができる電流の目安で、電線の種類やサイズなどによって異なります。
選定では、実際に流れる負荷電流に対して十分な許容電流を持つ電線を候補にします。ただし、カタログや早見表に記載されている許容電流をそのまま使えるとは限りません。使用する電線・ケーブルの種類、心数、布設方法、周囲温度など、資料に示された前提条件と実際の施工条件が一致しているか確認する必要があります。
配線長が長い場合は電圧降下を確認する
許容電流を満たしていても、配線が長い場合は電圧降下が大きくなり、より太い電線が必要になることがあります。電線には抵抗があるため、電流が流れると配線の途中で電圧が低下します。
電圧降下の大きさは、主に負荷電流、配線長、電線の抵抗、配線方式などによって変わります。そのため、許容電流表だけを見て最小サイズを採用するのではなく、候補サイズごとに電圧降下も確認することが重要です。特に長距離配線や負荷電流が大きい回路では、電圧降下がサイズ選定を左右する場合があります。
布設条件や周囲温度による補正を反映する
電線の許容電流は、実際の使用環境によって変わります。周囲温度が高い場所で使用する場合や、複数の電線・ケーブルをまとめて布設する場合などは、基準となる許容電流に補正が必要になることがあります。
このような条件では、メーカー資料や適用する基準に記載された補正係数を確認し、補正後の許容電流で負荷電流との余裕を評価します。基準値では十分に見えても、補正を反映すると余裕が小さくなる場合があるため、実際の施工条件を先に整理しておくことが大切です。
保護装置や接続機器の条件も確認する
電線サイズを決める際は、ブレーカーなどの保護装置との整合も確認します。負荷電流や電圧降下の条件を満たしていても、保護装置との組み合わせが適切でなければ、その電線サイズをそのまま採用できない場合があります。
また、接続する機器や端子台には接続可能な電線サイズが定められていることがあります。必要に応じて短絡時の熱的強度や保護協調なども確認し、回路全体の設計条件から採用できるか判断しましょう。
電線サイズ選定の前に確認する情報
電線サイズの選定を始める前に、回路や施工条件を整理しておくことが重要です。条件が曖昧なまま計算すると、途中で資料を探し直したり、別の条件で再計算したりする原因になります。ここでは、電線サイズを選定する前に確認しておきたい情報について解説します。
配線方式・使用電圧
配線方式と使用電圧は、電流値や電圧降下を計算するうえで最初に確認しておきたい条件です。配線方式によって計算方法が異なるため、図面や設計条件から正確に把握しておきましょう。
| 確認項目 | 主な内容 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 配線方式 | 単相2線式・単相3線式・三相3線式など | 配線方式によって電流や電圧降下の計算方法が異なるため |
| 使用電圧 | 100V・200Vなど | 同じ負荷容量でも電圧によって電流値が変わるため |
確認した配線方式と使用電圧は、以降の電流計算や電圧降下計算でも共通して使用します。途中で条件が混在しないよう、計算を始める前に整理しておくことが大切です。
負荷電流・負荷容量
許容電流を確認するためには、電線にどの程度の電流が流れるのかを把握する必要があります。負荷電流が分かっている場合はその値を基準にし、負荷容量から求める場合は、配線方式や使用電圧、必要に応じて力率などを確認して計算します。
負荷が複数ある場合や運転条件が変化する設備では、どの電流を設計条件として扱うかも整理することが重要です。単純な定格値だけで判断せず、対象回路の設計条件に合わせて確認しましょう。
配線長
配線長は電圧降下を計算するときの重要な条件です。一般に配線距離が長くなるほど電圧降下は大きくなるため、同じ負荷電流でも長距離配線では電線サイズを大きくする必要が生じることがあります。
注意したいのは、使用する計算式やツールによって配線長の扱いが異なることです。片道の長さを入力するのか、往復の長さを使用するのかを確認せず計算すると結果が大きくずれる可能性があります。計算前に、使用する式や資料の定義を必ず確認しましょう。
電線・ケーブルの種類と布設方法
IV、CV、CVTなど、使用する電線・ケーブルの種類によって許容電流の参照値は異なります。また、同じケーブルでも、布設方法によって評価条件が変わることがあります。
| 確認項目 | 主な例 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 電線・ケーブルの種類 | IV、CV、CVTなど | 種類ごとに許容電流の参照値が異なる |
| 布設方法 | 空中、管路内など | 放熱条件などにより評価条件が変わる |
| 参照資料 | メーカー資料、規格資料 | 実際の種類・施工条件に合った値を確認する |
そのため、「何sqか」だけを先に決めるのではなく、実際に使用する電線・ケーブルの種類と施工方法を明確にしたうえで、その条件に対応したメーカー資料や規格資料を確認することが大切です。
周囲温度・集合条数などの補正条件
許容電流表には、基準となる周囲温度や布設条件が設定されています。実際の使用環境がその条件と異なる場合は、周囲温度や集合状態などに応じた補正が必要になることがあります。
選定時は、適用する補正係数とその根拠となる資料を確認し、補正後の許容電流で負荷との余裕を判断します。計算結果だけでなく、どの条件と資料を使ったかを記録しておくと、後から設計内容を確認しやすくなります。
電線サイズを選定する手順
電線サイズは、最初から一つのサイズを決めるのではなく、負荷条件から候補を絞り、許容電流と電圧降下などを順番に確認していくと判断しやすくなります。ここでは、電線サイズを選定するときの基本的な流れについて解説します。
1. 配線方式・電圧・負荷電流を整理する

最初に、対象回路の配線方式、使用電圧、負荷電流を整理します。負荷容量から電流を求める場合は、配線方式や力率など必要な条件も確認します。
この段階で条件をそろえておくと、後から候補サイズを比較するときに同じ基準で評価できます。入力値の単位や配線方式の取り違えも結果に影響するため、図面や設計条件と照合しながら整理しましょう。
2. 許容電流表から候補サイズを絞る
次に、使用する電線・ケーブルの種類と布設条件に対応する許容電流表を確認します。負荷電流を上回る許容電流を持つサイズを候補として抽出し、複数サイズを比較できるようにしておくと判断しやすくなります。
ここで重要なのは、表の数値だけを抜き出して使わないことです。許容電流表には周囲温度や布設方法などの前提条件があるため、実際の条件と一致しているかを同時に確認します。
3. 補正係数を反映して許容電流を確認する
周囲温度や集合条件などによる補正が必要な場合は、許容電流に補正係数を反映します。補正後の許容電流が負荷電流を上回っているかを確認し、十分な余裕がない候補は見直します。
例えば、基準条件では使用できそうなサイズでも、補正後には負荷電流との差が小さくなることがあります。そのため、候補サイズを比較するときは基準の許容電流だけでなく、補正後の値を使って評価することが重要です。
4. 電圧降下を計算する

許容電流の条件を満たした候補について、次に電圧降下を確認します。負荷電流、配線長、配線方式、電線の抵抗値などを使い、候補ごとに電圧降下量や電圧降下率を計算します。
許容電流を満たす最小サイズでも、配線長が長い場合は電圧降下が大きくなることがあります。この場合は一段階以上大きなサイズを候補に加え、電圧降下がどの程度改善するか比較します。
5. 複数の電線サイズを比較する

候補が複数ある場合は、補正後許容電流や負荷電流との差、電圧降下量・率などを同じ条件で並べて比較します。単純に「使える最小サイズ」を選ぶのではなく、サイズを大きくした場合にどの程度余裕が増えるかを確認することがポイントです。
| 比較項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| 補正後許容電流 | 負荷電流に対して十分な余裕があるか |
| 負荷電流との差 | 電流容量にどの程度の余裕があるか |
| 電圧降下量・率 | 許容できる範囲に収まっているか |
| 材料費 | サイズアップによるコスト増が適切か |
| 施工性 | 配線や取り回しが難しくならないか |
| 接続条件 | 端子や機器に問題なく接続できるか |
電線サイズを大きくすると電気的な余裕は増えますが、材料費や施工性、端子への接続条件などにも影響します。電気的な条件だけで判断せず、施工や設備側の条件も含めてバランスのよいサイズを選びましょう。
6. 保護装置・端子仕様・設計条件を照合する
候補サイズを絞ったら、ブレーカーなどの保護装置、接続する機器の端子仕様、設計図書などと照合します。許容電流と電圧降下だけでは確認できない条件があるためです。
必要に応じて短絡時の熱的強度や保護協調なども確認します。電線単体の計算結果ではなく、回路全体として安全かつ設計条件を満たしているかを見ることが重要です。
7. 最新資料と有資格者・実務責任者が最終確認する
計算や比較によって候補を絞った後は、最新の規格、メーカー資料、設計図書、施工条件と照合して最終確認します。Web上の早見表や計算ツールは確認作業を効率化できますが、施工可否や法令・規程への適合を自動的に保証するものではありません。
実際に採用するサイズは、対象設備に適用される基準を確認したうえで、必要な資格・責任を持つ担当者が判断してください。
許容電流から電線サイズを選ぶ方法
許容電流は電線サイズ選定の基本となる条件ですが、公称断面積だけで一律に決まるものではありません。電線・ケーブルの種類や布設条件によって参照する値が変わり、使用環境によって補正が必要になる場合もあります。ここでは、許容電流から電線サイズを確認する方法について解説します。
許容電流表は電線種類と布設条件を合わせて確認する
許容電流表を確認するときは、最初に対象となる電線・ケーブルの種類を一致させます。IV、CV、CVTなど種類が違えば構造や使用条件も異なるため、別の電線の数値をそのまま流用することは避けましょう。
さらに、心数や布設方法など、表に記載された条件も確認します。同じsqであっても条件が変われば許容電流が同じとは限りません。メーカー資料を利用する場合は、対象製品と施工条件に対応した最新資料を参照することが重要です。
補正後許容電流が負荷電流を上回るか確認する
補正が必要な条件では、許容電流表に記載された基準値ではなく、補正係数を反映した後の許容電流で評価します。補正後許容電流と負荷電流を比較し、負荷に対してどの程度の余裕があるかを確認します。
候補サイズを複数比較すると、サイズアップによって余裕がどの程度増えるかも把握しやすくなります。特に負荷電流と補正後許容電流が近い場合は、ほかの条件も含めて慎重に検討しましょう。
許容電流だけでサイズを確定しない
許容電流を満たしたからといって、その電線サイズをそのまま採用できるとは限りません。長距離配線では電圧降下が大きくなる場合があり、保護装置や接続機器の条件が選定を左右することもあります。
許容電流は電線サイズを選定するための重要な判断材料ですが、あくまで複数ある確認項目の一つです。候補を抽出した後は、電圧降下や施工条件なども順番に確認しましょう。
電圧降下から電線サイズを確認する方法
配線長が長い回路では、許容電流を満たす最小サイズよりも太い電線が必要になることがあります。これは、電線の抵抗によって負荷端の電圧が低下するためです。ここでは、電圧降下を電線サイズ選定へ反映する方法について解説します。
電圧降下は電流・配線長・電線抵抗などで変わる
電圧降下は、負荷電流や配線長が大きくなるほど増え、電線の抵抗が小さくなるほど抑えやすくなります。また、配線方式や使用する計算方法によって必要な条件が異なる場合があります。
そのため、同じ負荷電流でも配線距離が変われば必要な電線サイズが変わることがあります。許容電流表だけでは長距離配線の影響を判断できないため、配線長を確認したうえで電圧降下を計算しましょう。
候補サイズごとに電圧降下率を比較する
電線サイズが大きくなると一般に抵抗は小さくなるため、同じ負荷条件では電圧降下を抑えやすくなります。候補サイズごとに電圧降下量と電圧降下率を計算し、サイズ変更によってどの程度改善するか比較すると判断しやすくなります。
例えば、許容電流では複数の候補が残った場合でも、電圧降下を比較すると候補をさらに絞り込めることがあります。負荷端電圧も合わせて確認すると、回路への影響を把握しやすくなります。
許容範囲は適用する規程・設計条件で確認する
電圧降下の許容範囲は、対象となる設備や回路条件、適用する規程、設計仕様などに応じて確認する必要があります。Web上で紹介されている一般的な目安だけを根拠に、採用可否を判断するのは避けましょう。
実際の選定では、対象設備に適用される規程や設計図書を優先し、必要に応じて発注者・設計者などが定める条件も確認します。
電線サイズ表・早見表を見るときの注意点
電線サイズ表や早見表は、候補となるサイズを短時間で確認するのに便利です。一方、表に記載された条件と実際の施工条件が異なる場合は、その数値をそのまま使えないことがあります。ここでは、電線サイズ表や早見表を見るときの注意点について解説します。
sqは導体の公称断面積を表す
電線サイズで使われる「sq(スケア)」は、一般に導体の公称断面積をmm²で表すときの呼び方として使われます。例えば「2sq」「5.5sq」といった形でサイズを区別します。
一方、単線では導体の直径でサイズが表される場合もあります。資料を見る際は、単線かより線か、どのようなサイズ表記が使われているかを確認し、異なる表記を混同しないようにしましょう。
同じsqでも許容電流が同じとは限らない
同じ公称断面積であっても、すべての電線・ケーブルで許容電流が同じになるわけではありません。電線の種類、絶縁材料、心数、布設方法、周囲条件などによって参照する許容電流は変わります。
そのため、「5.5sqなら○Aまで」といった形でサイズだけを切り離して覚えるのではなく、どの電線・どの条件の数値なのかをセットで確認することが大切です。
早見表は候補抽出に使い最新資料で再確認する
早見表は、負荷電流からおおまかな候補サイズを確認する用途では便利です。しかし、個別の施工条件や補正条件まですべて反映されているとは限りません。
早見表で候補を絞った後は、採用を検討する電線・ケーブルの最新メーカー資料や適用する規格資料を確認し、許容電流や補正条件を再確認しましょう。早見表は最終決定ではなく、候補抽出のための入口として使うのが安全です。
電線サイズ選定の具体例
実際の選定では、一つのサイズだけを最初から正解とするのではなく、同じ負荷条件に対して複数の候補を用意し、許容電流と電圧降下などを比較すると判断しやすくなります。ここでは、具体的な選定の進め方を例として紹介します。
なお、ここで示す考え方は選定手順を理解するための例です。実際の電線サイズは、使用する製品の最新資料や規格、設計・施工条件を確認して決定してください。
負荷条件から候補サイズを絞る
まず、配線方式、使用電圧、負荷電流、配線長を整理します。次に、使用する電線・ケーブルと布設条件に対応した資料から許容電流を確認し、負荷電流を満たす複数のサイズを候補として抽出します。
候補ごとに、許容電流、必要な補正係数、抵抗値などを整理しておくと、その後の比較がしやすくなります。条件や数値の出典も同時に記録しておけば、後から計算根拠を確認できます。
許容電流と電圧降下を比較する

候補ごとに補正後許容電流を計算し、負荷電流との差を確認します。あわせて、同じ負荷条件と配線長で電圧降下量・率を計算すると、各候補の違いを整理しやすくなります。
| 比較項目 | 確認する内容 | 比較のポイント |
|---|---|---|
| 補正後許容電流 | 使用条件を反映した許容電流 | 負荷電流を上回っているか |
| 負荷電流との差 | 補正後許容電流から負荷電流を差し引いた余裕 | どの程度余裕があるか |
| 電圧降下量 | 配線によって低下する電圧 | 候補ごとの差が大きくないか |
| 電圧降下率 | 使用電圧に対する電圧降下の割合 | 許容範囲に収まっているか |
許容電流では複数の候補が条件を満たしていても、電圧降下量・率まで比較すると違いが明確になることがあります。複数の判断項目を並べて確認することで、単純に最小のsqを選ぶのではなく、条件に合った採用候補を整理しやすくなります。
最終判断前に追加条件を確認する
許容電流と電圧降下から候補を絞った後も、選定は完了ではありません。ブレーカーなどの保護装置、端子の対応サイズ、施工スペース、設計図書、適用する規格などを確認します。
電線サイズを大きくすると電気的な余裕が増えても、端子へ接続できない、施工性が悪化するなど別の問題が生じる場合があります。計算結果と実際の施工条件を合わせて最終判断しましょう。
電線サイズ選定で起こりやすい失敗
電線サイズの選定では、早見表や一つの計算結果だけを見て判断すると重要な条件を見落とすことがあります。選定後の手戻りを防ぐためにも、よくある失敗例をあらかじめ把握しておくことが大切です。ここでは、電線サイズ選定で起こりやすい失敗について解説します。
許容電流だけで選定する
代表的な失敗は、負荷電流と許容電流だけを比較してサイズを決めることです。許容電流を満たしていても、配線が長ければ電圧降下が大きくなる場合があります。
特に長距離配線では、許容電流から選んだ最小サイズよりも大きなサイズが必要になる可能性があります。許容電流を確認した後は、必ず配線長を踏まえて電圧降下も確認しましょう。
補正前の許容電流をそのまま使う
許容電流表の基準値だけを見て、周囲温度や集合状態などの補正条件を反映しないことも注意したい失敗です。実際の環境が表の基準条件と異なる場合、基準値のままでは負荷に対する余裕を正しく評価できません。
資料に補正係数が示されている場合は、適用条件を確認して補正後の許容電流で判断します。補正の要否そのものも含め、使用する資料の注意事項を確認しましょう。
配線長の片道・往復を取り違える
電圧降下を計算するときは、配線長の定義を取り違えないよう注意が必要です。計算式やツールによって、入力する長さの考え方が異なる場合があります。
片道距離を使う前提の計算に往復距離を入力したり、その逆を行ったりすると、結果が大きく変わってしまいます。使用する式・資料・ツールの説明を確認し、どの長さを入力するのかを統一しましょう。
早見表の条件を確認せず流用する
過去案件で使ったサイズやWeb上の早見表をそのまま別の案件へ流用すると、条件の違いを見落とす可能性があります。電線の種類、布設方法、周囲温度、配線長などが違えば、同じ負荷電流でも必要なサイズが変わることがあります。
早見表や過去データは参考情報として使い、採用前には今回の施工条件に対応した最新資料を確認しましょう。
計算結果だけで採用サイズを確定する
計算ツールで許容電流や電圧降下が問題ないと表示されても、それだけで採用サイズを確定することはできません。保護装置との整合、短絡時の条件、端子仕様、適用する規格など、ツールだけでは判断できない項目があるためです。
計算結果は候補を比較する材料として利用し、最終的には最新の資料と設計・施工条件を確認して判断してください。
電線サイズ選定支援ツールで複数候補を比較する
電線サイズを手計算で比較する場合、候補を変更するたびに許容電流や電圧降下を確認する必要があります。候補数が増えると、計算そのものだけでなく資料値の転記や比較にも時間がかかります。
ラクワークの「電線サイズ選定支援ツール」を使えば、共通の負荷条件とメーカー資料などで確認した候補値を入力し、複数の電線候補を同じ条件で比較できます。自動で採用サイズを決定するツールではなく、候補を整理し、選定時の確認作業を効率化するための支援ツールとして利用できます。
配線方式・電圧・負荷電流・配線長をまとめて入力できる
ツールでは、配線方式、使用電圧、負荷電流、配線長、力率など、候補間で共通する条件をまとめて入力できます。
共通条件を固定したまま複数の候補を比較できるため、電線サイズを変えたときに許容電流や電圧降下がどのように変わるかを確認しやすくなります。候補ごとに同じ条件を何度も入力する手間も減らせます。
補正後許容電流と負荷余裕を比較できる
各候補には、メーカー資料などで確認した許容電流と補正係数を入力できます。入力した値から補正後許容電流を確認し、負荷電流に対してどの程度の余裕があるかを候補ごとに比較できます。
基準の許容電流だけを見るのではなく、実際の条件に合わせて補正した後の値を並べて確認できるため、複数候補の整理に役立ちます。
電圧降下量・率と負荷端電圧を比較できる
候補ごとの抵抗値を入力すると、共通する負荷条件から電圧降下量・電圧降下率・参考負荷端電圧を比較できます。
サイズを一段階大きくした場合に、電圧降下がどの程度改善するのかを同じ画面で確認できるため、許容電流では絞りきれなかった候補を比較するときにも便利です。
入力根拠と比較結果を確認用に残せる
電線サイズ選定では、計算結果だけでなく、使用した資料や数値の根拠を残しておくことも重要です。ツールでは、候補ごとに次の情報をまとめられます。
入力値の根拠や資料名
候補ごとの比較結果
コピーやA4印刷、PDF保存用の内容
条件と結果をまとめて残せるため、後から設計内容を確認する場合や、複数人で候補を検討する際にも役立ちます。
電線サイズ選定支援ツールでは、配線方式・負荷条件と、メーカー資料などで確認した候補値を入力すると、補正後許容電流・負荷余裕・電圧降下を同じ条件で比較できます。
まとめ|許容電流・電圧降下・施工条件を確認して電線サイズを選定する
電線サイズを選定するときは、負荷電流に対する許容電流を確認するだけでなく、配線長による電圧降下、周囲温度や集合状態による補正、保護装置や端子仕様なども確認することが重要です。電線サイズ表や早見表は候補を探すのに便利ですが、表の条件と実際の施工条件が一致しているかを必ず確認する必要があります。
複数の電線サイズが候補になる場合は、補正後許容電流や負荷余裕、電圧降下を同じ条件で比較すると判断しやすくなります。「電線サイズ選定支援ツール」も活用しながら確認作業を効率化し、最後は最新の規格・メーカー資料・設計条件と照合して適切な電線サイズを選定しましょう。
SOURCE & FRESHNESS
根拠・参考資料
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計算条件や解説内容の確認に使用した資料です。実際の設計・施工・安全管理・会計処理では、リンク先の最新版、個別条件、所属組織の基準も確認してください。
- 法令・公的資料
経済産業省「電気事業法 告示・内規等」
- 参照内容
- 電気設備の技術基準・解釈の最新版と適用上の前提を確認
- 公開・改定
- 電気設備の技術基準の解釈:2025年11月20日改正
- 資料確認日
- 規格・標準仕様
国土交通省「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版」
- 参照内容
- 電線・ケーブル・電線管の仕様、施工条件、参照規格を確認
- 公開・改定
- 2025年5月12日改定
- 資料確認日
- メーカー資料
SWCC株式会社「技術情報」
- 参照内容
- 電線・ケーブルの構造、仕上外径、許容電流など製品別条件の確認先として参照
- 資料確認日




