工事原価管理では、工事ごとに受注額と原価を集計し、実績原価だけでなく、これから発生すると見込まれる残工事原価まで含めて利益を確認することが重要です。完成後に原価超過が判明しても対策は限られますが、施工中に完成見込原価を更新すれば、追加請求の確認、施工方法の見直し、発注条件の調整などを早めに検討できます。
工事原価に含める項目や共通費の配分方法、利益の管理基準は、工事内容や会社の会計方針によって異なります。そのため、一般的な費目や計算式をそのまま標準値として使うのではなく、自社の契約条件、原価集計ルール、税込・税抜の基準をそろえて確認する必要があります。本記事では、工事原価の内訳、工事別利益の計算方法、管理手順、失敗例、改善策を順番に解説します。
工事原価管理とは、工事ごとの原価と利益を継続して把握すること
工事原価管理とは、工事ごとに受注額、実行予算、実績原価、残工事原価を対応付け、採算の変化を継続的に確認する業務です。工事が完了してから結果を集計するだけでなく、施工中に予算との差と完成時の利益見込みを更新することで、原価超過へ早めに対応できます。
管理を始めるときは、重複しない工事番号を設定し、見積書、発注書、請求書、作業日報、勤怠記録などの情報を同じ工事へ集約します。工事名の表記や費目が帳票ごとに異なると集計結果がずれるため、入力単位と更新方法を社内で統一することが前提です。
工事台帳や会計処理だけでは利益の変化を把握しにくい理由
工事台帳や会計帳簿に確定した取引だけを記録している場合、発注済みで請求書が届いていない材料費や、今後必要になる外注費などが集計に表れないケースがあります。その時点の実績原価だけを受注額から差し引くと、工事途中の利益を実際より多く見積もる可能性が高まります。
たとえば、材料を発注していても請求書の到着後にしか計上しない運用では、発注から計上までの期間に原価が少なく見える状態です。原価管理では、確定額と見込額を区別したうえで、発注情報や工程の進み具合から残工事原価を把握すると、完成時の利益変化を確認しやすくなります。
実行予算・実績原価・完成見込原価を分けて管理する
実行予算は、受注後に工事内容や施工条件を確認し、実際の施工に必要な費用を見積もった社内管理用の予算です。見積書の内訳をそのまま転記するのではなく、材料の数量、作業時間、外注範囲、車両費、廃材処分費などを工事の条件に合わせて整理します。
実績原価は、すでに発生した材料費、労務費、外注費、経費です。残工事原価は、工事を完成させるまでに今後発生すると見込まれる費用を指します。完成見込原価は、実績原価と残工事原価を合計して求めます。
原価管理上の見込額は、会計・税務上の確定額とは役割が異なります。見込額を会計処理へそのまま転用せず、取引内容、役務の完了時期、会社の会計方針などに従って確定額を確認してください。
完成工事原価報告書では材料費・労務費・外注費・経費の4区分
建設業法施行規則に基づく完成工事原価報告書では、完成工事原価を材料費、労務費、外注費、経費に区分します。社内の工事原価管理でもこの4区分を使うと費目別の差異を確認しやすくなりますが、管理項目や配分方法は、工事内容、契約形態、管理目的、会計方針に合わせて設定します。
まずは実行予算と実績原価で同じ費目を使用し、同じ費用を複数の区分へ重複計上しないルールを決めます。判断が分かれる費用は、経理担当者や税理士などへ確認し、自社の処理方針を明文化してください。
材料費は工事で使用する材料や資材の費用
材料費は、電線、ケーブル、配管、分電盤、照明器具、端子、支持材など、施工に使用する材料や機器の費用です。対象となる品目は工事によって異なるため、自社の工種や見積区分に合わせて設定します。
運賃、加工費、値引き、返品の扱いも、あらかじめ決めておく必要があります。複数工事でまとめて購入した材料は、使用数や払出記録を工事番号ごとに残し、合理的な基準で配分します。
労務費は工事に直接従事した自社作業員の賃金など
労務費は、自社の作業員が対象工事へ従事した時間に対応する費用です。賃金、給料、手当などのうち、どの範囲を工事別に集計するかは、自社の原価計算と会計処理のルールに合わせます。
工事別の作業時間が記録されていなければ、工事ごとの労務費を適切に配分できません。作業日報や勤怠記録へ工事番号と作業区分を入力し、自社で定めた時間単価を使って集計します。時間単価へ含める費用の範囲も統一し、会計上の区分と混同しないようにしてください。
外注費は協力会社などへ施工を委託した費用
外注費は、協力会社や一人親方などへ施工や作業を依頼した費用です。注文時点では契約額を見込額として記録し、請求内容が確定した後に確定額へ更新すると、原価把握の遅れを防ぎやすくなります。
完成工事原価報告書では、工種・工程別などの工事完成を約する契約のうち大部分が労務費である支払額は、労務費の内訳である「うち労務外注費」として扱うことができます。一方、材料などを作業とともに提供して工事の完成を約する契約の支払額は、労務費に含めたものを除き外注費です。社内管理上の区分は、この会計上の区分との対応を明確にしてください。また、労働基準法上の労働者性は契約名だけで決まらず、仕事の依頼に対する諾否の自由、指揮監督、拘束性、報酬の労務対償性などを踏まえて総合的に判断されます。疑義がある場合は、労働基準監督署や専門家へ確認してください。
経費は材料費・労務費・外注費以外の工事関連費用
経費には、車両費、燃料費、駐車場代、運搬費、工具使用料、仮設費、現場事務所費、廃材処分費、安全管理費などがあります。工事へ直接対応付けられる費用は、工事番号を付けて記録します。
複数工事に共通する費用を配分する場合は、作業時間、売上高、使用日数など、自社の実態に合う基準の選定が必要です。配分方法を工事ごとに変えると比較しにくくなるため、対象費用、配分基準、更新時期を統一してください。
販管費や共通費と混同せず、社内ルールを統一する
本社家賃や全社共通の人件費など、販売費及び一般管理費(販管費)や共通費を工事別原価へ含めるかどうかによって、管理表に表示される利益の意味は変わります。工事へ直接対応付ける原価だけを差し引いた金額と、会社全体の最終利益は一致しない場合があります。
工事別の利益を比較するときは、「どの費用まで含めた利益か」を明記します。共通費を配分する場合は、自社の管理目的に合う基準を採用し、同じ期間・工事区分で継続して使うことが大切です。
工事別利益は受注額から完成見込原価を差し引いて把握する
工事中の採算を確認するには、受注額から実績原価を差し引くだけでなく、残工事原価を含む完成見込原価を使います。実績原価だけで計算した利益は、今後発生する費用を含んでいないため、完成時の利益を示すものではありません。
計算では、受注額、予算、原価について、税込または税抜のどちらかに基準をそろえることが前提です。追加・変更契約、値引き、返品などが生じた場合は、合意内容を確認したうえで受注額や原価へ反映します。
本記事で工事中の採算確認に用いる管理上の計算項目、計算式、確認目的は次のとおりです。これらは法令や会計基準で統一された指標名ではないため、自社の管理ルールと対応付けて使用してください。
| 計算項目 | 計算式 | 確認目的 |
|---|---|---|
| 現在利益 | 受注額-実績原価 | 現時点までの途中経過 |
| 完成見込原価 | 実績原価+残工事原価 | 完成までに必要な原価の見込み |
| 完成見込利益 | 受注額-完成見込原価 | 完成時の採算見込み |
| 予算差異 | 完成見込原価-実行予算 | 予算超過・未消化の把握 |
| 予算消化率 | 実績原価÷実行予算×100 | 予算に対する実績の進み具合 |

現在利益は受注額から実績原価を差し引いて確認する
本記事で「現在利益」と呼ぶ金額は、現時点までに記録された原価を受注額から差し引いた管理上の途中経過です。法令や会計基準で定められた利益区分ではなく、工事が完了した場合の利益でもないため、完成見込利益と併せて確認します。
たとえば、受注額500万円、実績原価320万円なら、現在利益は180万円です。ただし、残りの材料費や外注費が未反映であれば、その180万円が完成時に残るわけではありません。入力漏れや途中経過を確認するための指標として扱ってください。
完成見込原価は実績原価と残工事原価を合計する
完成見込原価には、発注済み未請求額だけでなく、工程表、未施工数量、必要な作業時間などから見積もった今後の費用も含めます。
残工事原価は固定値ではありません。材料価格の変更、工程の遅れ、施工範囲の追加などが分かった時点で更新が必要です。見込額の根拠と更新日を残しておくと、前回から金額が変わった理由を確認できます。
完成見込利益は受注額から完成見込原価を差し引く
完成見込利益は、工事完成前に追加請求や施工方法の見直しを検討するための管理指標です。現在利益だけでなく、残工事原価を反映した後の変化を確認します。
ただし、この金額が会社全体の最終利益を示すとは限りません。販管費や共通費を含めていない場合は、工事別の管理上の利益として扱い、自社で定めた利益区分を表示してください。
予算差異と予算消化率も併せて確認する
予算差異と予算消化率は、原価が予算に対してどの位置にあるかを確認するために使います。差異の符号は社内ルールで統一し、消化率だけで判断せず、工程の進捗率、発注済み未請求額、残工事原価と組み合わせて確認してください。
計算例では追加外注費を反映して完成見込利益の変化を確認する
受注額500万円、実行予算400万円、実績原価320万円、当初の残工事原価60万円と仮定します。この場合、完成見込原価は380万円、完成見込利益は120万円です。実績原価だけで求めた現在利益180万円との差は、今後発生すると見込んだ60万円に相当します。
その後、追加外注費30万円が必要と分かった場合、残工事原価は90万円、完成見込原価は410万円、完成見込利益は90万円です。実行予算400万円に対して完成見込原価が10万円上回るため、追加請求の可否、施工方法、発注条件などを確認します。
この数値は計算方法を示す例であり、利益率や費目の標準値ではありません。実際には契約条件、追加工事の合意、原価の集計範囲、税込・税抜の基準をそろえ、自社の数値で計算してください。
工事原価管理は5つの手順で運用する
工事原価管理は、工事番号の設定、実行予算の作成、実績原価の集計、残工事原価の見積もり、差異と完成見込利益の確認という順で進めます。各工程で入力担当者、確認者、更新時期を決めると、情報の遅れや集計ルールのばらつきを抑えやすくなります。
工事の進行段階ごとの確認内容は次のとおりです。
- 着工前:契約範囲、見積条件、施工方法、調達条件、外注範囲、工程を確認する
- 施工中:実績原価、残工事原価、追加作業、完成見込利益を確認する
- 完成時:未請求・未払費用、返品材料、追加工事、値引き、差異理由を確認する
1.工事番号と責任者を決める
受注した工事には重複しない工事番号を付け、工事名、発注者、施工場所、契約金額、工期、現場責任者、原価管理の担当者を登録する必要があります。追加注文を別工事として扱う場合も、受注額と原価を対応付けられる単位にそろえます。
見積書、発注書、請求書、作業日報、勤怠記録など、原価集計に使う帳票には同じ工事番号を記載します。誰が入力し、誰が内容を確認し、誰が予算変更を承認するかも決めてください。
2.費目別の実行予算を作成する
見積書、施工図、仕様書、工程表、協力会社の見積などを確認し、材料費、労務費、外注費、経費の実行予算を作成する工程です。数量や単価だけでなく、算定根拠と確認日を残します。
予算は、受注時の見積条件をそのまま転記するのではなく、実際の施工方法、調達条件、外注範囲、工程に合わせて組み直すことが重要です。追加・変更工事が合意された場合は、受注額と予算の両方を更新し、変更前後を追跡できるようにします。
3.請求書・日報・発注情報から実績原価を集計する
実績原価は、実行予算と同じ費目での記録が必要です。請求書、納品書、発注書、作業日報、勤怠記録などから、発生日、取引先、内容、数量、単価、金額、見込・確定の状態を工事番号ごとに集計します。
請求書の到着まで入力を待つと、原価把握が遅れます。材料や外注は発注時点の金額を見込額として登録し、請求内容が確定した後に確定額へ更新するなど、自社で更新のタイミングを決めてください。
4.未発生の残工事原価を見積もる
工程表、未施工数量、未発注材料、今後必要な作業時間、外注範囲を確認し、工事完成までに発生すると見込まれる費用を整理する工程です。発注済み未請求額と、まだ発注していない見込額を区別すると、根拠を確認しやすくなります。
残工事原価は、工程変更、材料価格、作業進捗、追加作業などに応じて更新します。現場担当者だけで判断せず、必要に応じて購買、経理、管理責任者と情報を共有してください。
5.差異と完成見込利益を定期的に確認し、対策を決める
実行予算、実績原価、残工事原価、完成見込原価、完成見込利益は、同じ画面や管理表での比較が必要です。短期工事では主要工程の完了時、長期工事では週次や月次など、自社の工期と原価発生のタイミングに合う確認周期を設定します。
差異が生じた場合は、材料単価の上昇、数量増加、作業時間の超過、手戻り、工程変更などに分けて原因を記録します。そのうえで、追加請求の確認、発注条件の調整、施工方法の見直しなど、対応内容、責任者、期限を決めます。
工事原価管理で起こりやすい5つの失敗
工事別の数値を集計していても、入力単位や更新時期が統一されていなければ、完成見込利益を正しく把握できません。特に、請求書が届いてから入力する運用や、残工事原価を更新しない運用では、原価超過の発見が遅れやすくなります。
失敗を防ぐには、数値の誤りだけでなく、どの工程で情報が止まっているかを確認することが大切です。原因に応じて入力元、担当者、更新時期、承認方法を見直します。
請求書の到着まで原価を把握できない
請求書が届いた時点で初めて材料費や外注費を入力すると、発注から計上までの原価が管理表に表れません。その期間は利益が多く見えるため、完成見込利益の低下を見逃すことがあります。
発注時点で注文額を見込額として登録し、請求書の到着後に確定額へ更新します。見込と確定を区別し、二重計上を防ぐ確認方法も決めてください。
工事番号や費目の入力ルールが担当者ごとに違う
同じ工事が帳票ごとに別の工事名で記録されていたり、同じ費用が異なる費目へ入力されていたりすると、工事別集計が分散する原因になります。表記を後から修正する運用では、転記漏れや集計対象外が発生しやすくなります。
工事番号、費目名、見込・確定の区分を選択式にするなど、入力時点で統一できる仕組みを用意します。例外が生じた場合の確認先と修正履歴も残してください。
追加・変更工事を受注額や予算へ反映していない
施工範囲が増えたにもかかわらず受注額や予算を更新しないと、追加原価だけが増え、差異の理由を判断できなくなります。また、追加作業が発生しただけで、必ず追加請求できるとは限りません。
作業範囲、金額、工期、依頼者、合意方法を確認し、契約書、注文書、変更指示書などの記録を残します。合意が確認できた内容は、受注額、実行予算、残工事原価へ同じタイミングで反映してください。
実績原価だけを見て残工事原価を更新していない
実績原価が予算内でも、今後必要な材料や外注の見込額が増えていれば、完成時には予算を超過する可能性があります。実績だけを確認する運用では、この変化を完成前に把握できません。
工程の進行に合わせて未施工数量と必要作業を見直し、残工事原価を更新する必要があります。前回値との差と変更理由を記録すると、見込みの精度を継続的に改善できます。
集計しても責任者・期限・対応策が決まらない
差異を見つけても、誰がいつまでに何を確認するかが決まっていなければ、管理表は集計結果を表示するだけになります。原価超過の原因が未確認のまま、次の工程や発注が進むこともあります。
差異ごとに原因、対応内容、責任者、期限、完了状況を記録します。定例会議などで未対応項目を確認し、完了後は結果を次回の見積や施工計画へ反映してください。
工事別利益を早く正確に把握するための改善策
工事別利益を早く把握するには、入力を増やすだけでなく、情報が発生した時点で同じ工事番号へ集まる仕組みを整えることが重要です。現場、購買、経理が別々の資料を使っている場合は、入力元と確認の流れを整理します。
改善策は、会社の規模や工事件数に合わせて選びます。すべてを一度に変更するのではなく、進行中の工事で更新頻度と差異確認の方法を決め、運用できる範囲から標準化してください。
入力元・入力日・担当者を決めて更新を習慣化する
材料費は発注書、労務費は作業日報や勤怠記録など、費目ごとの入力元を定めることが出発点です。そのうえで、入力者、確認者、入力日を決めると、資料間の転記漏れを防ぎやすくなります。
更新頻度は工期や原価発生の状況に合わせます。毎日、週次、主要工程の完了時など、自社で継続できるタイミングを設定し、更新日と確認者を記録してください。
予算超過を金額と率の両方で早期に検知する
差異額だけでは、工事規模による影響の違いを比較しにくい場合があります。金額と予算に対する割合の両方を確認すると、少額工事で相対的に大きい超過も見つけやすくなります。
ただし、一律の警告率を標準値として設定するのではなく、工事規模、工期、利益計画、費目の変動性に合わせて自社基準を決めます。警告後に確認する担当者と対応手順も併せて設定してください。
追加工事・未請求・未払費用を同じタイミングで確認する
受注額だけを更新し、追加工事に必要な材料費や外注費を後から入力すると、一時的に利益が多く見えます。反対に、原価だけを反映し、追加契約の合意額を更新していない場合も正しい採算を確認できません。
追加・変更工事を確認するときは、契約額、実行予算、発注済み未請求額、未払費用、残工事原価を同じタイミングで見直します。契約上の合意状況と管理表の更新状況を対応付けてください。
現場と経理で同じ工事番号・費目を使う
現場の日報と経理の仕訳資料で工事番号や費目が異なると、照合と修正に時間がかかります。工事番号を共通キーとし、使用する費目名と入力単位を社内でそろえることが重要です。
現場が入力しやすい名称と会計上の勘定科目が一致しない場合は、対応表を用意します。現場へ複雑な会計判断を求めるのではなく、管理用区分から会計用区分へ確認できる流れを決めてください。
月次締めだけでなく工事の進行に合わせて見直す
短期間で材料発注や外注が集中する工事では、月次締めだけでは原価超過の発見が完成後になることがあります。着工、主要材料の発注、工程変更、追加工事の発生など、利益へ影響するタイミングで見直すことが有効です。
確認頻度を増やしすぎると運用負担が大きくなるため、すべての工事へ同じ周期を当てはめる必要はありません。工期、金額、リスクに応じて対象工事と確認時点を決めてください。
Excelで管理できる範囲と、運用が難しくなるサイン
Excelは、工事件数が少なく、入力担当者や費目が限定されている段階では始めやすい方法です。工事一覧、実行予算、実績原価、予算実績比較を分け、工事番号をキーに集計できます。
一方、工事件数や担当者が増えると、ファイルの重複、転記漏れ、数式変更、更新遅れが起こりやすくなります。自社の工事件数、同時編集の必要性、証憑管理、権限管理、変更履歴などを確認し、Excelで継続できるか判断してください。
少数工事ならExcelで始めやすい
Excelで管理する主な項目は次のとおりです。
- 工事番号
- 受注額
- 費目別予算
- 実績原価
- 見込・確定の区分
- 残工事原価
- 更新日
- 確認者
少数工事では、最初から管理項目を増やしすぎず、一つのファイルで継続して更新できる範囲から始めてください。
転記・同時編集・版管理が増えたら管理方法を見直す
複数担当者が別ファイルへ入力し、後で一つの表へ転記している場合は、最新版が分からなくなったり、入力内容が上書きされたりするリスクが高まります。証憑とのひも付け、変更履歴、権限設定、複数工事の横断集計が必要になった場合も、Excelだけでは運用が複雑になることがあります。
見直す際は、現在の管理項目、入力元、集計頻度、必要な出力を整理します。専用システムやツールを選ぶ場合も、機能数だけでなく、自社の担当者が継続して入力・確認できるかを判断基準にしてください。
Excelを使う場合も入力規則と更新責任を明確にする
Excelを使い続ける場合は、工事番号や費目を選択式にし、見込額と確定額を別項目で管理する方法が有効です。数式セルを保護し、更新日、更新者、確認者を残すことで、誤操作や確認漏れを防ぎやすくなります。
入力規則を設けても、運用責任が不明確であれば更新は止まります。入力期限、確認周期、差異が出た場合の報告先を決め、更新責任が曖昧にならない運用にしてください。
工事原価管理表作成ツールで予算・実績・完成見込利益をまとめて確認する
工事原価管理表作成ツールを使うと、工事番号、受注額、費目別の予算・実績、残工事原価などを一つの管理表へ整理でき、予算差異や完成見込利益の確認が容易です。入力項目や計算方法が固定されているため、担当者ごとの表記や数式の違いを減らす用途にも使えます。
ただし、ツールの計算結果は、入力した数値と設定条件に基づく管理上の参考値です。会計・税務・契約・労務上の確定判断には使用せず、自社の会計方針、契約内容、情報管理ルールを確認してください。
管理表に必要な入力項目と確認できる出力
管理表で扱う主な入力項目と、確認できる出力は次のとおりです。
| 区分 | 主な項目 |
|---|---|
| 入力 | 工事番号、工事名、受注額、実行予算、費目別実績原価、残工事原価、更新日 |
| 出力 | 予算差異、予算消化率、完成見込原価、完成見込利益 |
無料ツールの特徴を確認してから管理表を作成する
無料ツールを使う前に、登録の要否、入力データの保存・送信の有無、対応端末、印刷・PDF出力、入力上限などを確認します。個人情報、賃金、顧客情報、仕入価格、外注価格、利益などを入力する場合は、所属組織の情報管理ルールに従ってください。
管理表を作成した後は、入力漏れ、税込・税抜の基準、見込・確定の区分、計算結果を利用者自身で確認します。ツールの出力をそのまま確定資料とせず、自社の運用ルールに沿って保存・共有してください。
まとめ|完成見込原価を更新し、工事別利益の変化を早めに捉える
工事原価管理では、工事ごとに実行予算を作成し、材料費、労務費、外注費、経費の実績を同じ区分で記録します。さらに、今後必要になる残工事原価を見積もって完成見込原価を求め、受注額との差から完成時の利益見込みを確認することが重要です。
まずは共通の工事番号、費目、入力元、担当者、更新時期を決め、進行中の工事から予算・実績・残工事原価の記録を始めてください。差異が生じた場合は、原因、対応内容、責任者、期限を残し、追加請求、発注条件、施工方法などを確認します。
工事原価や利益に一律の標準値を当てはめるのではなく、契約条件、工期、費用の集計範囲、会計方針に合わせて自社基準を設定します。完成後は予算と実績の差異を振り返り、次回の見積や施工計画へ反映しましょう。
SOURCE & FRESHNESS
根拠・参考資料
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計算条件や解説内容の確認に使用した資料です。実際の設計・施工・安全管理・会計処理では、リンク先の最新版、個別条件、所属組織の基準も確認してください。
- 法令・公的資料
国土交通省「建設業法施行規則別記様式第十五号及び第十六号の国土交通大臣の定める勘定科目の分類」
- 参照内容
- 完成工事原価の材料費・労務費・外注費・経費の区分を確認
- 資料確認日




